CGRP関連抗体治療薬

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■片頭痛の画期的新薬「エムガルティ」のご紹介

■はじめに

• CGRP関連抗体治療薬は4種類あります。
• 参考国内で開発中の片頭痛予防・治療薬
• その中で国内初となる治療薬「ガルカネズマブ(商品名エムガルティ)」が2021年4月26日に発売されました。
• 「エムガルティ」は、これまでのお薬とまったく違うタイプのお薬です。
• 片頭痛は脳血管をとり囲む神経から放出されるＣＧＲＰという物質が血管に作用して起こる頭痛です(図1)。
• エムガルティはこのＣＧＲＰに働きかけて頭痛を起こりにくくする「モノクロナール抗体薬」です。

■片頭痛とは

• 片頭痛は15 歳以上の日本人の8.4％を占め、女性に多い頭痛(男性の3.6倍)です。
• 生活への影響が強く患者さんを苦しめる頭痛です。
• 三大片頭痛は�@前兆のない片頭痛、�A前兆のある片頭痛、�B慢性片頭痛です。
• �@の発作は4〜72時間持続し、片側性、拍動性の頭痛で、中等度〜重度の強さであり、
  日常的な動作により頭痛が増悪することが特徴的です。
• ただし両側のことも拍動性がないこともあります。
• 随伴症状として悪心や光過敏・音過敏を伴います。
• �Aの頭痛頭痛の前に「閃輝暗点」を伴います。

■いままでの薬との違い

• 片頭痛の発作に対しては「トリプタン」が使われてきました。
• トリプタンはＣＧＲＰの放出を抑え、拡張した血管を収縮させることによって効果を発揮します。
• 服用のタイミングが遅いと、すでにＣＧＲＰが血管の外へ漏出しており、
  脳が痛みに過敏となり(アロディニアといいます)、痛みが消えませんでした。
• 片頭痛の予防するお薬も抗てんかん薬や抗うつ薬など、何種類か知られていました。
• これらは片頭痛の大元であるＣＧＲＰには直接作用していません。
• 脳や血管に作用して頭痛を起こりにくくする間接的な効果を応用したお薬でした。
• 従って、効果の出現が遅く、かつ不完全であるという欠点がありました。

■エムガルティがなぜ効くのか

• ガルカネズマブは片頭痛に対するヒト化抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体です。
• CGRPは三叉神経節や硬膜上の三叉神経末梢に存在する神経ペプチドで、
  過剰に発現すると血管拡張作用や神経原性炎症を介して片頭痛発作を引き起こします。
• エムガルティは片頭痛の原因物質「ＣＧＲＰ」に特異的に作用し、
  片頭痛発作の発症を抑さえる「抗体治療薬」です(図2)。

■片頭痛は予防が一番

• 片頭痛は発作が起こってから治療するよりも発作が起こらないようにするのが一番です。
• エムガルティは、どのようなタイミングの片頭痛でも(仕事中や夜中でも)、
  頭痛を起こりにくくしてくれます。
• したがって片頭痛の頓挫薬としてではなく「発症抑制薬」として利用されます。

■投与方法

• エムガルティは抗体治療薬ですので皮下注射が必要です。
• １回(120mg含有)の注射で１か月にわたり有効です。
• 初回に限り１本の注射では十分な血中濃度に達しないために２本注射します。
  このことにより速やかに効果を発揮します(図3)。

■エムガルティの効果

• 反復性、慢性、他の薬剤2〜4剤で効果不十分な片頭痛患者を対象とした国内・海外の治験が行われました。
• 他の薬剤2〜4剤で効果不十分な片頭痛患者462例(日本人42例を含む)を対象とした
  ガルカネズマブの国際共同第�V相試験CGAW/CONQUERでは、
  実薬投与群で1カ月当たりの片頭痛発症日数(3カ月平均)が4.1日減少し、
  偽薬群(1.0日減少)と比べ有意に高い効果が認められております(図4)。
• 有効性は反復性片頭痛、慢性片頭痛患者でも認められております。
• 治験データを見ますと、完全に頭痛がなくなる方も１割 おられます。

■エムガルティをお勧めしたい方

• �@これまでの片頭痛治療を行っても１か月間の発作が４日以上続く方
• �A頭痛のために寝込んだり、仕事に集中できなかったりといった日常生活に支障のある方
• �B片頭痛でつらい思いをしている方

■費用

• エムガルティは画期的新薬ですので１シリンジの薬価が約１万３千円あまり(本人負担3割で)とやや高価です。
• といっても１日当たりに換算すると400円のコーヒー１杯分です。
• 今までの治療で満足されている方は従来のお薬で治療を続けてください。

■副作用

• １割程度に注射部位の痛みや発赤が見られますが一時的です。
• エムガルティは血管に作用しますが、
  脳に侵入しないために従来薬で生じやすい眠気やめまいなどの副作用は稀(いずれも1％未満)です。
• 重篤なものはごく稀とされています。

■エムガルティを投与できる医師

• 画期的新薬ですので厳密な適応判断が必要です。
• 下記の専門医が投与できます。
• 日本神経学会、日本頭痛学会、日本内科学会(総合内科専門医)、日本脳神経外科学会
• かかりつけの先生が有資格者でない場合は相談のうえ専門医に紹介していただいて下さい。

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