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■頭痛情報(専門職向け)■

■脳梗塞発症時の頭痛は転帰良好の可能性
台湾脳卒中データ(n=11,523)を用いて脳梗塞発症時の頭痛と転帰との関係を検討した。
頭痛が確認された患者は848例(7.4%) だった。
頭痛が多かったのは　大動脈硬化、心原性脳塞栓、比較的若年で女性、後方循環脳梗塞であった。
頭痛群は非頭痛群と比べ、
　入院中を含む追跡、期間における脳卒中の頻度が低かった〔4.5%対6.7%､相対リスク(RR)0.64 〕 。
　退院時の米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)の改善が大きかった(0.08対-0.20､P = 0.02 )。
　追跡 1カ目のパーゼル指数の平均スコアが高く、修正ランキンスケールでグレード2を超える患者の割合が有意に低かった(RR 0.85)。
　、頭痛群の患者は追跡 3 および 6カ月目の機能転帰がより良好であった。
Chen PK, et al.: Stroke 44:1852, 2013.

●バルプロ酸は2010年に片頭痛に適用外処方が認められました。それにより一気に片頭痛患者さんに使われるようになりました。
ところがそれに冷や水をかける見解が、2013年5月6日に、米国FDA(米国食品医薬品局)から出されました。
「片頭痛治療としてのバルプロ酸については、妊娠可能な女性にはやむをえない場合を除き使用すべきでない」という見解です。これはバルプロ酸が催奇形性があるからです。妊娠していなければ問題なく使えます。
アメリカの勧告をそのまま日本に適用できませんが、ぜひ頭に入れておいてほしいニュースです。(2013-07-03)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm350866.htm
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm350684.htm?share=reddit

●いよいよ国際頭痛分類第3版(ICHD-Ⅲ)のベータ版が国際頭痛学会のWebサイト掲載され、 Cephalalgiaに全文が掲載されました。
これは国際頭痛学会のホームページhttp://www.ihs-headache.org/から誰でもダウンロードできるそうです。
分類委員長Olesenからの「ICHD-3 beta now published、すぐに利用してください」とアナウンスされています。
Olesen J. ICHD-3 beta is published. Use it immediately. Cephalalgia. 2013;33(9):627-8.

■片頭痛の性差男女差
片頭痛の有病率は女性の方が男性に比べて2倍多い。
本研究では高磁場MRIを用い、男女の片頭痛患者および健常男女を比較し、脳の構造の遣いを検討した。
女性片頭痛患者では男性片頭痛患者および健常男女に比し島後部と喫前部の皮質が厚いことが確認された。
Maleki N, et al. Her versus his migraine: multiple sex differences in brain function and structure. Brain. 2012;135(Pt 8):2546-59.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%94%E5%89%8D%E9%83%A8

●山田先生ご考案のレンダ一式頭痛ダイアリーはなかなかよさそうです。http://www.umenotsuji-cl.jp/ha/indexha.htmlからダウンロードできます。
　　文献 山田洋司. カレンダ一式頭痛ダイアリー:その有用性の検討. 日本頭痛学会誌. 2013;39(3):318-23.

待望の慢性頭痛の診療ガイドライン2013年版が医学書院から出版されました。(2013-06-07)

●片頭痛とうつ、併発する患者は脳萎縮と報告 【米国神経学会】

  • 2013年、片頭痛とうつを併発する患者は脳容積が小さいとする研究が紹介された。
  • 片頭痛の4296人（平均年齢51歳）を対象に、うつ症状の既往を調査し、MRIによる脳容積測定を行った。
  • 片頭痛とうつを併発した人（37人）の脳容積は、いずれも発症しなかった人（2753人）に比べ平均19.2ml小さかった。
  • 片頭痛かうつの一方のみの人の脳容積は萎縮がなかった。
  • 片頭痛+うつの脳萎縮に影響する因子として疼痛、脳の炎症、遺伝的要因、社会経済的要因などがあるが、今回の研究はMRI測定が1回のみのため、片頭痛とうつが脳萎縮につながるとは断定できない。(2013-06-07)
  • Gudmundsson LS, Scher AI, Sigurdsson S, Geerlings MI, Vidal JS, Eiriksdottir G, et al. Migraine, depression, and brain volume: The AGES-Reykjavik Study. Neurology. 2013;80(23):2138-44.

●「55年通知」により、薬理作用による適用外処方を保険診療上認める薬品適用拡大要望により適用外処方が認められた薬品

  • (2010.10.29)
  • バルプロ酸（片頭痛)
  • (2011.9.26)
  • ベラパミル（片頭痛、群発性頭痛)
  • プレドニゾロン【内服薬】（群発性頭痛)
  • インドメタシン内服（片頭痛、筋収縮性頭痛)
  • インドメタシン ファルネシル（片頭痛、筋収縮性頭痛)
  • カルバマゼピン（頭部神経痛、頸部神経痛)
  • ジクロフェナクナトリウム（片頭痛、筋収縮性頭痛)
  • メコバラミン（帯状疱疹後神経痛)
  • (2012.8.31)
  • プロプラノロール(片頭痛)　インデラル(60mg/日まで)
  • (2012.9.24)
  • アミトリプチリン(片頭痛、緊張型頭痛)
  • チザニジン塩酸塩(緊張型頭痛)
  • [参考]
    • 電子カルテで使用する標準病名と国際頭痛分類病名の対比表
    • 「群発性頭痛」　：「群発頭痛」
    • 「普通型片頭痛」：「前兆のない片頭痛」
    • 「典型片頭痛」　：「前兆のある片頭痛」
    • 「持続性片頭痛」：「片頭痛重積」
    • 「筋収縮性頭痛」：「緊張型頭痛」
●ナラトリプタンが球脊髄性筋萎縮症の治療薬になる？
  • 名古屋大学の祖父江元教授らは、トリプタン系薬剤のナラトリプタンが、
    全身の筋力が低下する病気である球脊髄性筋萎縮症の治療薬になることを突き止めたそうです。
    ちょっとした驚きです。
  • (2012-10-14)

●頭痛に係る医薬品の保険診療上の取り扱いの拡大

  • H24.9.24付けで片頭痛と緊張型頭痛に係る医薬品の適応外使用における保険診療上の取り扱いの拡大が公知されました。
  • そのお薬はアミトリプチリン、チザニジン(市販名トリプタノール、テルネリン)。
  • とくにトリプタノールはもともとうつのお薬です。
  • 患者さんから「なんで頭痛なのにうつの薬がでるの」と不安・不満の声が上がっておりました。
  • それが解消されたことは喜ばしいです。
  • (2012-10-14)

●2013-05-14掲載

●2009-05-31掲載

  • 軽度、早期服薬で、リザトリプタン10mgのODTは、プラセボよりすぐれる。
    RK, et al.: Rizatriptan 10-mg ODT for early treatment of migraine and impact of migraine education on treatment response. Headache 49:687-96, 2009
  • 片頭痛の頸部可動域　反復性と変容性片頭痛は、頸部関節可動域が減少している
    Bevilaqua-Grossi D, et al.: Cervical mobility in women with migraine. Headache 49:726-31, 2009.
  • 空腹時の頭痛：文献および新規の仮説の総説
    Torelli P, et al.: Fasting headache: a review of the literature and new hypotheses. Headache 49:744-52, 2009.

●2009-05-17掲載


[重要]変容性片頭痛のバーデン：年間全経費は、反復性1757ドル、変容性片頭痛7750ドルと4.4倍大きかった。 <Munakata J, et al.: Economic burden of transformed migraine: results from the American Migraine Prevalence and Prevention (AMPP) Study. Headache 49:498-508, 2009.>

難治性片頭痛を定義する <Schulman EA, et al.: Defining refractory migraine: results of the RHSIS Survey of American Headache Society members. Headache 49:509-18, 2009.>

[重要]トリプタン乱用頭痛 <Creac'h C, et al.: One or several types of triptan overuse headaches? Headache 49:519-28, 2009.>

積極的な、包括的な入院患者治療の後で大部分の患者（78%）は改善した。 <Lake AE, 3rd, et al.: Comprehensive inpatient treatment of refractory chronic daily headache. Headache 49:555-62, 2009.>

片頭痛患者においてエアロビクス運動プログラムの可能性を評価する研究 <Varkey E, et al.: A study to evaluate the feasibility of an aerobic exercise program in patients with migraine. Headache 49:563-70, 2009.>

発表倫理の著者のガイド：生医学的学術誌において新生の標準の総説 <Roberts J: An author's guide to publication ethics: a review of emerging standards in biomedical journals. Headache 49:578-89, 2009.>

センチネル頭痛 <Evans RW, et al.: Sentinel headache. Headache 49:599-603, 2009.>

[ツールボックス]急性の片頭痛：早く治療する <Rothrock JF: Acute migraine: treating early. Headache 49:635-6, 2009.>
　

　

●2009-04-29掲載

  • リドカインの神経精神病学的副作用： <Gil-Gouveia R, et al.: Neuropsychiatric side-effects of lidocaine: examples from the treatment of headache and a review. Cephalalgia 29:496-508, 2009.>

●妊婦の片頭痛と脳卒中併発との間に強い関連性(2009-04-25)

  •  <Bushnell CD, et al.: Migraines during pregnancy linked to stroke and vascular diseases: US population based case-control study. BMJ 338:b664, 2009.>
  • 米国の入院患者に関するデータベース約2千万件の解析の結果、片頭痛を有する妊婦の他疾患診断オッズ比は脳卒中が15.05，心筋梗塞/心疾患が2.11であった

●2009-04-13掲載分

  • 青春期の男女における月経性片頭痛 <Crawford MJ, et al.: Menstrual migraine in adolescents. Headache 49:341-7, 2009.>
  • トリプタンに対する指示順守度の予測因子 <Cady RK, et al.: Predictors of adherence to triptans: factors of sustained vs lapsed users. Headache 49:386-94, 2009.>
    トリプタン服薬継続例は、片頭痛が改善し正常な機能に戻れるという満足感と確信を持ったケースである。トリプタン非継続例は最適治療を受けていない。教育の結果、トリプタンの反応が不十分である場合、トリプタンの適正使用の再教育から利益を得る可能性がある。
  • ニトログリセリン頭痛とニトログリセリン誘発された一次性頭痛1846から、そして、前方へ：歴史的な概要と最新情報 <Tfelt-Hansen PC, et al.: Nitroglycerin headache and nitroglycerin-induced primary headaches from 1846 and onwards: a historical overview and an update. Headache 49:445-56, 2009.>
    　

●2009-03-30掲載分(国際頭痛学会からも推薦されている論文です。)

★片頭痛における深部脳核の鉄の蓄積 <Kruit MC, et al.: Iron accumulation in deep brain nuclei in migraine: a population-based magnetic resonance imaging study. Cephalalgia 29:351-9, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19025553

★片頭痛エスカレーションの緩徐による早期治療の効果の分析 <Ng-Mak DS, et al.: Treat-early and treat-mild: role of fast vs. slow escalation of headaches. Cephalalgia 29:465-71, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19291246

★小児の薬剤プラセボ効果 <Evers S, et al.: Placebo efficacy in childhood and adolescence migraine: an analysis of double-blind and placebo-controlled studies. Cephalalgia 29:436-44, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19170687

★妊婦・授乳婦の群発頭痛 <Jurgens TP, et al.: Treatment of cluster headache in pregnancy and lactation. Cephalalgia 29:391-400, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19170693

★片頭痛に有効な予防療法は、血漿グルタミン酸塩レベルを低下させる <Ferrari A, et al.: Effective prophylactic treatments of migraine lower plasma glutamate levels. Cephalalgia 29:423-9, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19170689

★睡眠時頭痛の統計 <Donnet A, et al.: A consecutive series of 22 cases of hypnic headache in France. Cephalalgia, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19250282

★抗てんかん薬　 Tonabersat　は拡延性抑制に有効(二重盲検) <Goadsby PJ, et al.: Randomized, double-blind, placebo-controlled, proof-of-concept study of the cortical spreading depression inhibiting agent tonabersat in migraine prophylaxis. Cephalalgia, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19222510

★片頭痛発作の治療のために新規の薬物標的を見つける。一酸化窒素シンターゼ抑制とカルシトニン遺伝子関連ペプチド・レセプターブロックの有効性を予測した <Olesen J, et al.: Finding new drug targets for the treatment of migraine attacks. Cephalalgia, 2009.>
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=19250288

　

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