 こころの風邪-うつ状態、うつ病
- サラリーマンＡさん（40歳）。
からだがだるく、頭痛と微熱が続いていました。
- Ａさんは、連日連夜仕事と会議に追われ、
リストラの不安のもと、上司と部下の板ばさみとなり、
憂うつな気分やイライラが続いています。
- 朝４時に寝汗と共に覚醒し、その後はまんじりともしません。
- 朝は「ボーッ」として、朝刊に目を通す元気も食欲もなく、
ロボットのようにふとんから抜けだし、会社に向かう毎日でした。
- みかねた妻のすすめて医師を受診しました。
- 診たては「心の風邪ですね。しばらく仕事を休んではどうでしょう」。
- 心の風邪とはうつ状態のことです。
- 抗うつ薬を服用したところ、
１週間目位から、からだも心も少しずつ楽になって、仕事に復帰できました。
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- 「朝早くから目が覚めて寝た気がしない」
- 「朝起きたとき気分がすぐれず、新聞やテレビを見る気がしない」
- 「職場でも仕事への意欲、決断力や根気がない」
- 「頭痛や身体の不調を感じる」
- 「食欲や性欲が減退した」
- 「いっそ死んでしまいたい」…。
- 疲れやすさ、脱力感、無力感、各種の痛み、便秘、手足の冷え、動悸など
身体各所の不定愁訴が続く場合も、もうつ病かも知れません。
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- うつ病は「心の風邪」にたとえられます。
- だれでも一生に何度かはかかります。
- 自然に治ることもありますが、こじらせると厄介です。
- 本人はとてもつらいのに、周囲は「だらしがない、怠け」と解釈してしまいます。
- 「おまえがんばれよ」と善意で励ましても、本人にはつらい鞭のように感じます。
- うつ病の患者は「がんばりたくともがんばれない」のです。
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- ∃一ロッパ６カ国で成人を対象とした専門医による大規模なうつ病の調査結果が発表されました。
- 78,463人のうち、なんと13,359人(17%)がうつ病・うつ症状を呈していました。
- うつ病とみなされた人の４３％が医療機関を受診せず、
そのうち８６％は受診する必要がないと判断していたということです。
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- 「うつ病」は、精神症状と身体症状からなる多彩症状を呈する疾患です。
- 精神症状は
- 憂うつな気分を中心に
- 「何をするのもおっくう」
- 「物事に以前程興味がもてない」
- 「頭が回転しない、思考力・判断力がにぶる」
- 「いやなことばかり考える、自信喪失」
- 「生きているのもつらい、悲観的になる」
- 「不安・緊張・イライラ」
- 身体症状は
- 早朝覚醒型の不眠
- 食欲不振、胃腸障害
- 頭痛・肩こり・腰痛
- 体重減少、だるい、疲れやすい
- 口のかわき
- 性欲減退
- うつ病は「症状が朝には強く現れるが、夕方から夜にかけて比較的軽くなる」のが特徴です。
- 軽症のうちは身体症状を強く訴える場合もあります。このようなうつは「仮面うつ病」といいます。
- そのため内臓疾患などと間違われやすく、発見が遅れ、重症化したり、長引いたりすることもあります。
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■うつ病の症状（別の文献より）
- うつ病の身体状態
- 1.睡眠障害
- 2.食欲減退、味覚異常
- 3.性欲減退
- 4.その他
- うつ病の精神状態
- 1.気分・感情の異常
- 2.思考の異常
- 考えがまとまらない
- 集中できない
- 判断力・決断力が鈍る
- 絶望感・劣等感
- 3.意欲・行動の異常
- 4.その他
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- この２週間以上…
- １、毎日のように、ほとんど１日中ずっと気分が沈んでいる。
- ２、何に対しても興味がわかず、楽しめない。
- ３、毎日のように、食欲が低下、または体重の増減が激しい。
- ４、毎晩のように、寝付けない、夜中や早朝に目が覚める。
- ５、毎日のように、動作や話し方が遅い、またはいらいらしたり、落ち着きが無い。
- ６、毎日のように、疲れを感じたり、気力がわかない。
- ７、毎日のように、自分に価値が無い、または申し訳ないと感じる。
- ８、毎日のように、仕事や家事に集中したり、決断することができない。
- ９、この世から消えてしまいたいと思うことがある。
- １〜９の回答に、５つ以上あてはまるものがある場合
（少なくとも１と２のどちらかを含む）を大うつ病エピソードの疑いとする。
- Ｍ．Ｉ．Ｎ．Ｉ．精神疾患簡易構造化面接法改変
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- 病前性格を持つ人にうつ病のきっかけとなる環境要因（出来事） が加わると発病します。
- 身体的なダメージ
- 失うことのむなしさ
- 別れることの悲しみ
- 環境の変化に対するプレッシャー
- 結婚、出産、転校、就職、受験、転勤、昇進、転居など
- 家庭内の葛藤
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- 性格要因
- 几帳面、仕事熱心、真面目
- 律儀・頑固
- 気を使い過ぎる
- 臨機応変な対応に欠ける
- うつ病になりやすい性格−メランコリー型性格質問表（笠原）
- 「元気なときのあなた」について、
下記の質問表に「はい」1点、「いいえ」〇点で、計算した場合
うつ病患者の平均は約12点で、
健常者の平均は約9点です。
- 1 元気な時は働くのが好きだった
- 2 やりだしたら徹底的にしたい
- 3 責任感は強い
- 4 義理を重んじる
- 5 人に頼まれるといやと言えない
- 6 人と争うのは苦手
- 7 気が小さい
- 8 人にどう思われるかを気にする
- 9 常識を大事にする
- 10 極端なことはしない
- 11 目立つことが嫌い
- 12 熱しやすいところがある
- 13 どちらかというと朗らか
- 14 物を片づけるのが好き
- 15 きれい好き
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【内因性】
- 素因が重要で、誘因と考えられる大きな動機がないにもかかわらず、発病するうつ病。
- 【心因性】
- 日常の出来事が誘因でおこり、
専門的なカウンセリングや精神療法的接近も必要となる。
- 【身体性】
- 身体の病気が基礎にあって二次的にうつ病・うつ状態になる。
脳血管障害後によくみられる。身体の病気と相乗的に障害がおこる。
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早期発見、早期治療が大切です。
- うつ病治療の基本は、つぎの３点です 。
- 1. うつ病を病気と認めて、その苦しみを理解すること。
- 2. 心身の安静。休養することも非常に大切です。思い切って仕事や学校を休むのも大切です。
- 3. 薬物療法
- 治療は薬物療法で
- うつ病かもしれない…と思ったら、まず医師の診察を受けてください。
- 治療は「抗うつ薬」による薬物療法が主体となります。
- 副作用が少なく、安全で飲みやすい抗うつ薬があります。
- 家族や周囲の方への心がまえ
- 1. 過度に励ましたり、気晴らしを強制しない。
- 2. 怠けているのではなく、病気だと認識する。
- 3. 本人の負担が軽くなるように協力する。
- 4. 自殺には、くれぐれも注意する。
- うつ病にならないために
- 1. 自分の性格をよく知り、何事も行き過ぎにならぬよう、完璧さを期すことは控える。
- 2. 物事に優先順位をつけ、できることから始める。悩みや責任を自分だけで抱え込まない。
- 3. うつ病と思われる身体・精神の不調に気づいたら、早めにかかりつけ医に相談する。
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- 健康ぷらざNo.256 企画=日本医師会の記事から構成しました。
- ■うつ病とは
- うつ病は、心身のエネルギーが低下する病気です。
- 憂うつな気分はうつ病の特徴的な症状ですが、それ以外にもさまざまな症状が現れます。
- ■高齢者の場合は、
- 憂うつな気分がはっきりしません。
- これといった理由がないのに体調が優れなかったり、気力がわかなかったりします。
- ■うつ病の症状
- 1. "毎日の生活にはり"が感じられない
- 2. これまで楽しめていたことをしても楽しくない
- 3. わけもなく疲れたような感じがする
- 4. これまで楽にできていたことがおっくうに感じられ
- 5. 自分が役に立つ人間だと感じることができない
- 少なくとも2つ以上が2週間以上続いていて、つらく感じたり、生活に支障があればうつが疑われます。
- ■ほかのうつの症状
- よく眠れない、いくら寝ても寝た気がしないなど「眠れない」なども重要なサインです。
- 食欲がない、身体には問題がないのに体重が減ってきた、 頭が痛いなども うつの症状です。
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- 北里大学村崎教授のＳＳＲＩとうつ病・うつ状態（明治製菓）
- 日本医師会健康プラザ{うつ病}No.71
- 日本医師会健康ぷらざNo.256
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